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”輝ける闇”   開高健
ここにあるどの一行を採っても、それはさながら破裂寸前の果実のように緊張している。そんな緊張をこんな長さで続けるのは、非常の場合である。よくも声を織る糸が切れなかったものだ、と思う。そう思って見ると、ここにある言葉は、小説家の述語や文法ではない。その一つひとつが
、開高氏の、寸断され、ばら撒かれた生の断片である。

”輝ける闇” 解説   より
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平和な日本

清潔な日本

生を・・・死を・・・・感じることの少ない日本


どろどろとしたべとべととした状態で生まれ落ちた直後から
人工的な清潔な世界で生きる

死を感じることの少ない、幅の狭い世界で生を、生きる証を求める

戦争のない世界は理想の世界

だけど・・・・

死を感じるから精一杯生きる、

濃度の高い生を生きる


なんと甘えた贅沢な思考・・・


”輝ける闇” の世界は、べとべとぬるぬる、”アジア特有の腐敗と栄養の熱がむッとたちこめる”高温多湿で不潔極まりない、そしてそこにいる限りそこから逃れることのできない世界。 

”誰も殺したくない”ために、徴兵された後に、銃を使えぬよう人差し指・中指を自ら切断してしまう世界

”忠誠に比べたら命は鳥の羽根より軽い”世界


「地獄の黙示録」の中でカーツ大佐が語ります

「・・・伝染病がはやっていた。それによってベトナムの老人・子供が次々に亡くなっていった。米兵たちが手分けをして、予防注射を無償で村の子供たちに打ってあげた。
それを知ったベトコン兵士たちは、その注射を打たれた側の腕を切り落とした。その腕は山と積まれた・・・・こんなベトコンにアメリカは勝てないと思った」

”地獄の黙示録”そのものが全編、戦争のすさまじい狂気を描いた名作ですが、もっとも恐ろしかったのは、映像では表現されず、語りだけで表現されたの上記の内容でした。

音が、想像力をかきたて、それが映像を超え、恐怖を植え付けたのです。

”輝ける闇”は、ベトナム戦争をそれに参加する一人の視界を文字により、映像以上に、肌の感触をも含めて、表現されたすさまじい書。
輝ける闇 (新潮文庫)輝ける闇 (新潮文庫)
(1982/10)
開高 健

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私はたたかわない。殺さない。助けない。耕さない。運ばない。扇動しない。策略をたてない。誰の味方もしない。ただ見るだけだ。わなわなふるえ、眼を輝かせ、犬のように死ぬ。見ることはその物になることだ。だとすれば私はすでに半ば死んでいるのではないか。


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